
(Update:2015.07.23)
ペットのために遺言を書こう!
先日、都内で暮らす86歳の女性とお話する機会があった。女性は猫6頭と暮らしている。猫が増えてしまったのは、近隣の高齢者が飼っていた猫を引き受けたからだ。いちばん若い猫はまだ3歳とのこと。「自分に何かあったら、猫たちはどうなってしまうのか」と心配している。確かに、3歳の猫が20歳まで生きたら、女性は103歳。猫を飼育するのは難しいだろう。
東京都動物愛護相談センターに引き取られる成猫・成犬でいちばん多いのが、飼い主の入院・入所・死亡によって持ち込まれる犬・猫だ。高齢者が飼育しているペットでは、「ご本人はもう意志を伝えることができないので」と介護福祉士によって持ち込まれることも少なくない。高齢とはいえない年齢のひとり暮らしの飼い主の病気や死亡で行き場を失ってしまう犬・猫もいる。半年前、2頭の猫の新しい飼い主探しをお手伝いしたが、猫たちは、30代のひとり暮らしの女性が急死して残されたのだった。
飼い主が元気な時は幸せに暮らしていたのに、飼い主を失ったとたん、待っている運命は、自治体の収容施設と殺処分。これでは、ペットがあまりにも可哀想ではないだろうか。
万が一の場合にも、愛する犬・猫が不幸にならないようにするためには、どうしたらよいのか。まずペットを引き取り、終生、責任を持って飼育してもらえるよう、信頼のおける人と約束を取り交わしておく。その上で、遺言を書いておくことが大切だ。犬・猫が遺産を相続することはできないが、「ペットを引き取ってくれる人にペットとお金を遺贈する」と遺言しておけばいい。お金は、猫の養育費と医療費、謝礼ということである。
遺言は、自筆で書くこともできるが、公証役場で「公正証書の遺言」を作成してもらえば、確実に効力を発揮する。「自分が死ぬ時のことなんか考えられない」と言う人がいるが、この世に死なない人はひとりもいない。「(ペットのために)そのうち遺言を書かなくちゃ」と言いながら実行に移せないでいる人も少なくないが、愛する犬・猫のため、ぜひ実行に移して、遺言を書こう!